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10/01/24|Best of 09
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10/01/21|My Personal Best 2009
2009年心に残った音楽―トップ10
09/12/31|My Personal Best 2009
2009年心に残った音楽―その③(年間ベスト10編)
09/12/25|My Personal Best 2009
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2009年心に残った音楽-その①(次点、再発、ライヴ編)
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The Pains of Being Pure At Heart(Slumberland/Fortuna Pop!)
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Higamos Hogamos(DC Recordings)
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Merriweather Post Pavilion(Domino)
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極私的年間ベスト―④
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極私的年間ベスト―その②

2009/08/01

Arboretum

Song of the Pearl(Thrill Jockey)

2年ほど前に創立15周年を祝ったばかりのスリル・ジョッキーだが、あの頃よりも所属アクトが次々と力作を発表している09年の方が、彼らにとっても喜ぶべき・祝うべき材料が揃っている、いわばレーベル・ルネッサンスの年じゃないか?と感じている。ダブル・ダガーの先だっての作品は00年代の最後の年にストレート・エッジなハードコアのシャウトと熱を叩き込んでくれた痛快作だったし、トータスは彼らの過去10年間で最高と言える新作をリリース。ここしばらく足踏み状態で煮え切らない観もあった彼らが、遂に!再び!前に向かって進み始めたことを感じさせてくれたのは記憶に新しい。

しかし、そうした優れたリリース群の中でもベストな内容の作品は?と問われれば、僕はこのアーバレイタム
の新作「Song of The Pearl」を上げる。流浪のロード・トリップ調の歌物ロックでありながら、ここにはサイケデリアとプログレッシヴ・ロック、そして胸に染み入るような叙情とが同居しているのだ。聴いているうちにヒゲ面の男や長髪のイメージが自然に思い浮かんでくるクラシックな趣の作品でありながら、この手の音でモダン・アメリカーナを鳴らそうとする、最近のバンドの作品にありがちな剽窃~パスティーシュ(たとえばMV&EEの「Gettin Gone」が、B級なニール・ヤングの二番煎じカヴァー・バンドに聞こえてしまうように)とは無縁な、誠実極まりない表現も魅力だ。

「False Spring」は、タイトルにある「False=あやまった」が誤解を招きそうなくらい見事なオープニング・トラックになっている。じわじわとビルド・アップしていく手並みも秀逸だし、文句なしのロック・チューン。この嵐のように激しい1曲目が過ぎると、アルバムA面のほとんどはスローな曲が占めていく。しかしテンポはゆったりしていてもパワフルな楽曲郡ぞろいで、彼らのソウルフルなソングライティングが大きく成長したことを感じる。このバンドはこれまでもスローなバラッド系楽曲に挑戦してきたことがあるが、今回の作品における堂々たる雰囲気とクオリティの高さはその比ではないと思う。とりわけ素晴らしいのが「Down By The Fall Line」で、この曲のマドリガルで踊るようなフィーリングは、デイヴィッド・クロスビーの名作「If Only I Could Remember My Name」に匹敵するものじゃないかと個人的に思っている。

しかしB面ではムードが変わり、ダイナミックかつエネルギー値がぐーっと上昇したところでアート・ロックの表情が浮上してくる。そのグルーヴィなドライヴ感には、たとえば最盛期ロキシー・ミュージックの無謀なほどの勢いが思い浮かぶびもするし、時に聴きやすい時のキング・クリムゾンの音楽を思わせる場面すらある。「Thin Dominion」、「Infinite Corridor」、「The Midnight Cry」の3部作は特にすさまじい流れで、“これは未発表だった黄金期アイランド・レコーズ作品だよ”、と誰かに言われたらそのまま信じられそうなくらい、すこぶるプログレでアーティ。「Tomorrow is a Long Time」はA面にあったソウルフルなバラッド味をさらりと再訪するタイプの曲で、ファイナル・トラックにふさわしい完璧なエンディングをもたらしている。レコードで聴いても、ライヴで聴いてもばっちりラストにハマる曲だろう。

最初から最後まで各人の演奏ぶりも素晴らしいし、彼らのファンタスティックなライヴ・ショウのダイナミクスを遂に盤に置き換えることができた、そういう作品だと思う。唯一注文をつけるとすれば、それはアルバム・ジャケットをもうちょっと改善してもらい(これじゃ買い手の食指が伸びないと思う、それくらいダメなジャケだと思うんだが、どうだろう?)、ついでに、できればアナログのジャケットはラミネート加工、そしてピンク・リム・レーベルにしてもらって…というのは半分冗談にせよ、文句といえばその程度しか浮かばないグレイトな作品。また、この優れたバンドに個性を伸ばすスペースを与え、彼らがこの、現時点での自己キャリア最高傑作を生み出す域に達するまでじっくり待ってやったスリル・ジョッキーというレーベルは、やはり賞賛に値するのではないだろうか。後は、とにかく少しでも多くの人間にこの作品を買ってもらい、聴いてもらうのを祈るばかりだ。ゲットして、聴いてほしい。

Review by Captain

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