1.Blues Control--Local Flavor(Siltbreeze Records)
このバンドの音作りのDIYなアプローチには、そこから予想されるローファイな出来を裏切るレベルの優れた発想と発明が含まれている。古ぼけたテープ・デッキとボロボロのエフェクト・ペダル、というショボい機材を通じて作り出された実にビッグな音は、「09年版クラウト・ロック」の傑作と呼んでも過言ではない。その独創性という点ひとつとってもアルバム・オブ・ジ・イヤーに値するバンドだと思うが、アイデアだけではなく優れた作品にまでちゃんと昇華させた点を高く買う。新たなディケイドに生まれた、希望の星。
2.Raekwon --Only Built 4 Cuban Linx…Pt.2(Ice H2O/EMI)
やった!と快哉を叫ばずにいられないKilla Beez!レイクォン、過去15年のウータン関連作品中でもベストと言えるアルバムを引っ提げての帰還。続編ながら、1作目を凌ぐ内容だと思うのは僕だけだろうか。
3.Dirty Projectors--Bitte Orca(Domino)
中心人物:デイヴ・ロングストレスの天才としか言いようようのない才能を再び世に知らしめる、新たな1枚。この作品を聴いていると、彼が取り組んでマスターできない音楽ジャンルは存在しないのだ、と納得させられる。
4.Tune-Yards--Bird Brains(4AD)
ヒューマン・ヴォイスの持つ不可思議なパワーに焦点を当てた、優れたローファイ作品。
5.Animal Collective--Merriweather Post Pavilion(Domino)
早い時点で年間ベストの最有力候補に上がっていたこの作品、発売から12ヵ月経った後も色褪せない魅力を振りまいてくれた。彼らの全ディスコグラフィの中でももっとも大胆&ビッグな作品であり、かつ、これまででもっとも成熟したアルバム。とにかく至福な音とはこれだろう。
6.Boris—Feedbacker(Southern Lord)
リイシュー作品なので、厳密にはこのリストに入れるべきではない――と承知はしているが、何年か寝かせた今こそ僕の耳にとっては聴き時だったのだろうし、本作全曲演奏ライヴの衝撃を体験してみて、やっとこの作品の全貌を掴めた・・・と感じている。SUN O)))もいいバンドだ。が、このレコードこそ真の意味でのギター・エピック作品であり、かつSUN O)))につきまとうハッタリ性やかっこつけとは無縁な、ヒューマンなタッチに満ちているのも素晴らしい。
7.The Flaming Lips–Embryonic(Warner Bros.)
「火星のクリスマス」から1年を経て、ベテランがその魅力を十全に発揮してくれた作品。地上や俗世に彼らを繋ぎ止めているアンカーから自らを解放し、無限大の宇宙に飛び立ったこのアルバムは、火傷しそうにホットなリップス流サイケデリアの真骨頂だ。
8.Arboretum--Song of the Pearl(Thrill Jockey)
スリル・ジョッキーが09年に放った、3枚のキラー・アルバムのうちの1枚。アーボリータムは、この作品で放浪の旅人達の歌うロックにアート・サイケの味を加えてみせた。
9.Circulatory System--Signal Morning(Cloud Recordings)
自分が歳を食って音楽の聴き方が守りに入っているのか、はたまた若い連中に較べ、ベテラン連中の方がずっと面白い音楽を作っているということなんだろうか?・・・そんなことを考えずにいられない、(バンド名を除けば)実質オリヴィア・トレマー・コントロールの新作と言ってもいい、素晴らしいソング・サイクル・レコード。
10.Polvo--In Prism(Merge)
冬のATPでこのバンドの強烈なパフォーマンスを観せつけられた後だけに、彼らが現在素晴らしい状態にいるのをヴィヴィッドに伝える本最新作の到着は納得だった。昔と変わらず音のアングルは捩れているが、トータルな作りそのものに洗練度を増していて実に美しい仕上がり。活動~解散~再結成、とかなりの時間が経っているバンドなわけで、にも拘らずソニック・ユースの名作群=「Washing Machine」、「A Thousand Leaves」あるいは「Murray Street」にも引けを取らないこんなアルバムを打ち出してくるとは、すごい話だと思う。
11.Harmonic 313--When machines exceed human intelligence(Warp)
ブリープとベース・ヘヴィなこのサウンドは、初期ワープ傑作群に匹敵する秀逸さ。これを待ってたよ。
12.Julian Casablancas--Phrazes for the young(RCA)
フェニックスの最新作も相当良かったが、やはり「今年のクラシック・ポップ・アルバム」と言う意味ではこの作品がベスト。
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以下、特に順位はなく印象に残った作品。
James Blackshaw--The Glass Bead Game(Young God)
秋の空気が似合う、聖歌を思わせる瞑想的作品。ただただ美しい。
The Skygreen Leopards--Gorgeous Johnny(JagJaguwar)
宇宙をギャロップしながら漫歩するごときこのバンド。ザ・バーズ型のコズミックなサイケデリアに、ディストーションを強めたリッケンバッカーのジャングリー・サウンドが絡む。
Group Doueh--Treeg Salaam(Sublime Frequencies)
これぞ本当の砂漠のセッション。いつとも果てぬ蛇行のような、サイケデリックなシャーマン音楽。
Nils Frahm—Wintermusik(Erased Lapse)
ぶっちゃけアルバム・タイトルまんまの内容=うららかなピアノ・ピースによる組曲。ポポル・ヴーのもっとも哀感に満ちた楽曲を思わせもする。
Ecstatic Sunshine--Yesterdays Work(Hoss)
前作「Way」(08年)ほどのアングラ傑作レコード・・・とは言わないが、シンセを更に導入する方向に流れつつ、クレバーな反復の技はばっちりキープされている。
Double Dagger—More(Thrill Jockey)
ストレート・エッジなハードコア・パンクの快感を求めてやまない向きには、間違いなくヒットする作品だろう。
Lovvers--OCD Go Go Go Girls(Wichita)
ノー・エイジの衝撃を受け、遂に(!)イギリスから登場したアート・パンクの達人バンド。スウェル・マップスのファンはすべからく聞くように。
Rain Machine—S.T(ANTI)
キップ・マローンのソロ作。TVOTRがぐにゃりと歪んだらこうなる?というような音楽。
The Phantom Band--Checkmate Savage(Chemikal Underground)
グラスゴーならではの奇妙なポップを聞かせるスマートなバンド。文字通りキッチン・シンク型のごたまぜサウンドで、一歩間違うとカオスに終始しそうなところを、笑顔が浮かぶポップ・ミュージックとして成り立たせている。
The Pains of Being Pure at Heart—S.T(Fortuna Pop!)
言うことなし、なお手上げのポップ。88年に心がワープさせられる。
Grizzly Bear—Veckatemist(Warp)
「Yellow House Pt.2」を作るのはお茶の子さいさいだった・・・であろうこのバンドだが、そうではなく、よりチャレンジングで奥行きに満ちた組曲型の本作を上梓。09年のベスト・ライヴ・アクトでもある。
Tortoise--Beacons of Ancestorship(Thrill Jockey)
過去11年のトータスのディスコグラフィ中ベストの1枚。と同時に、バンドが新たな方向性を掴んだことも感じさせるのは頼もしい。
Yo La Tengo--Popular Songs(Matador)
そして、こちらは過去12年の彼らの歴史の中でベストな1枚。YLTの長所がすべて磨かれ、凝縮されている。
Sufjan Stevens—The BQE(Asthmatic Kitty)
初期作品にあったランダムな要素は影を潜めているが、アレンジに対する彼のすさまじい感性と耳の良さが際立つ作品。ブルックリンの高速道路に捧げられた、ネオ・クラシカルな組曲集。
Wavves--Wavvves(Bella Union)
バンド名とアルバム名がややこしい!パンチの効いた、SF調サーフ・ロックンロール。
Here We Go Magic—S.T(Western Vinyl)
.地味な印象だった元シンガー・ソングライター:ルーク・テンプルが生み出した、抜群なアヴァン・ポップ・アルバム。彼にこんな面があったとは、まったく予想していなかったな。
A Middle Sex/Temperatures—Split LP/Unclean Yawn/Bifurcation(Carnivals)
こういう前衛系のフリーキーな音楽こそ、UK音楽の十八番だろう。
Mike Bones--A Fool for Everyone(VICE)
過去を振り返るのでも、また未来を夢見るでもない――いわば、ふっと自らの立つ道の脇に視線を落すような、珍しいタイプのコンテンポラリーSSWの登場。長いキャリアを築いてほしいものだ。
The Intelligence--Fake Surfers(In The Red)
佳作リリースの続くIn The Redから、09年版ガレージ・ロック再解釈の最良例。
Hope Sandoval and the Warm Inventions--Through The Devil Softly(Nettwerk)
シューゲイズの女王から届いた、氷のような息吹。何も変える必要がないアーティスト。
Moritz Von Oswald Trio--Vertical Ascent(Honest Jons)
ベーシック・チャンネルの音を、トリッピーなジャズで解釈したらこうなる?
Atlas Sound—Logos(4AD)
音楽を作り続け、動き続けるアンストッパブルな魂:ブラッドフォード・コックスの最新作。ポップを絶え間なく進化させている。
White Rainbow--New Clouds(Kranky)
神なき世界に降り注ぐ、アナログ・シンセのマントラ。
Six Organs of Admittance—Luminous Night(Drag City)
00年代音楽のキー・パーソンのひとり:ベン・チャズニーから、ひっそり届いたリリース。だが、やはりうっとりさせられる美に満ちている。
Gary War--Horribles Parade(Sacred Bones Records)
エアリエル・ピンクがらみのアクトらしく、APの過去をチャネリング。
Various Artists--Psyche-Funk 101 - Psychedelic Curriculum 1968-75(World Psychedelic)
世界各地の未発表サイケデリック・ミュージックを集めた、しゃれたコンピレーション。
Jake Holmes--The 'Above Ground' Sound of Jake Holmes
ミュージック・ヒストリーのギャップを埋める、失われたリンクと言えそうなギタリスト。恐らくバート・ジャンシュと同じくらい重要な音楽家だろう。
Dog Faced Hermans--Hum of Life(Mississippi)
この作品が、まさか僕の年間リイシュー・ベストになるとは・・・
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