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10/03/28|Frightened Rabbit
スコットランドから、ぐっと沁みる熱い風――フライトゥンド・ラビット・インタヴュー
10/02/09|All Tomorrow's Parties--Barry Hogan Interview Pt2
イギリスが誇る名物フェス、ATP主宰者に聞く―その②
10/02/08|All Tomorrow's Parties--Barry Hogan Interview Pt1
イギリスが誇る名物フェス、ATP主宰者に聞く―その①
09/11/17|WARP20--Steve Beckett
ワープ20周年スペシャル・インタヴューその②:総帥に聞け
09/11/12|WARP20--Tyondai Braxton
ワープ20周年スペシャル・インタヴューその①
09/05/13|Tinted Windows
パワー・ポップ最新型?ティンテッド・ウィンドウズ発進!
09/02/28|Calvin Johnson
祝再来日!ミスター・Kに聞くインディ論
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モダン・ダンスのセイレーン達
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アメリカン・サウスから届いたポスト・カード
08/12/16|Ryan Adams&The Cardinals
ライアン・アダムス、新たな契り「Cardinology」
08/11/25|Rolo Tomassi
Kids Are All Right
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北欧のサイケ秘境:ドゥンエン・インタヴューPt2
08/11/20|Dungen
北欧のサイケ秘境:ドゥンエン・インタヴューPt1
08/08/28|Fucked Up
ファックト・アップ・インタヴュー:パート2
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ファックト・アップ・インタヴュー:パート1
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Welcome to Our (Dark) Land
08/08/03|Conor Oberst
On The Road
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Dandy in the Underground
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デスキャブ強化中!
08/06/10|Born Ruffians
Three is a magic number
08/06/04|Joan As Police Woman
Hymn for life
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デスキャブ強化月間
08/04/16|It Hugs Back
Sweet noise into your heart
08/04/09|Foals
New Sound for Modern People
08/03/28|Jeffrey Lewis
Still Makin' Noise in New York
07/09/25|Patrick Wolf
Cub is Wolf now
07/08/07|Animal Collective
Pet Sounds 2007

2010/02/09

All Tomorrow's Parties--Barry Hogan Interview Pt2

イギリスが誇る名物フェス、ATP主宰者に聞く―その②

オール・トゥモローズ・パーティーズ元締め:バリー・ホーガン・インタヴュー(パート1から続く)

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日本では(ATPを)本当にぜひやりたいし、たぶん、他のどの場所よりも実現させたい場所ではある

A:(笑)。で、日本人としてどうしても聞きたい質問。ずばり、いつか「ATPJapan」が開催される可能性はあるんでしょうか?(鼻息ゴーゴー)
B:ハッハッハッハッハッ!(しばし笑う)・・・いやあ、ごめんね、ってのも、その質問はこれまでに受けた日本のメディア向けの取材で、ことごとく聞かれた質問だからさ。で、うん・・・・・・ほんと、ATPを日本で開催できるんなら、それこそ自分の身体の一部を売っ払ってもいい、僕はそれくらいに思っているんだよ。というのも、ATPにはわざわざ日本から来てくれるファンもたくさんいるし、僕達にしても、日本の音楽やカルチャー、人々が好きだし。
A:でも、現実的にはハードルが多いわけです。日本には、ホリデー・キャンプがそもそもないし。
B:うん、すごーく難しいね。っていうのも、僕達には日本を拠点とするパートナーが必要だし、それだけじゃなく、その相手はこのフェスの本質を理解してくれてる人達じゃないといけないから。
A:ええ。それに商業面での可能性やバランス、日本国内のフェス事情も複雑だし、そうしたリスクを負ってまで新たに海外発のフェスであるATPをやろう、というプロモーターはぶっちゃけ見つけにくいだろうなー、と。
B:その通り!もちろん、批判するつもりは一切ないし、彼らの側のそういう事情は僕達も理解しているよ。それに、不況の影響も日本の色んなところで出ているだろうから、そんな時期に、何か新しい企画に手を出すことに対してナーヴァスになる、ってのはよく分かる。ただ、日本でぜひいつかATPをやれたらいいなとは思っているし、僕達もいくつか候補地を見に行ったり、開催実現に向けて積極的に動こうとしてはいるんだ。ただ、せっかくやるなら「これだ」っていう場所で開催したいんだよね。たとえば僕が考えた「これはありだな」っていう開催地は、オーストラリア版(※2009年)の時に利用したスキー・リゾート施設で。あの場所は、会場から宿泊施設まで、すべてひとつの建物に含まれていてね。でも・・・・・・(軽くため息)これまでのところ、残念ながらばっちりっていう場所に(日本では)出くわしてないんだよなあ。
A:フジ・ロックの苗場は?
B:ああ、僕もフジには行ったよ。
A:まあ、ホテルの中に会場を作れるか、は疑問ですけど・・・アルビニ先生に「音響が悪い」とか怒られるかも?
B:(苦笑)いや、きちんとした機材を使えばなんとかなるよ。それも可能性としてアリだけど、他の大きなスキー・リゾートの中に、いくつか宴会場みたいなものが設営されているものもあって。そこにはホテルもくっついてたし・・・だから、うん、日本では本当にぜひやりたいし、たぶん、他のどの場所よりも実現させたい場所ではあるんだけどねー。
A:仮に実現したとして、第1回は、やはり日本のアーティストにキュレーターを依頼しますか?
B:ああ、でもね、面白いのが、日本開催のアイデアに興味を示してくれたのが、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、それからソニック・ユースだったんだよ。
A:ソニック・ユースは当然でしょう。サーストン、機会があればいつでも日本で中古レコード漁りたいんだろうし。
B:その通り(笑)。でも、まあ日本アクトでキュレーターと言ったら、真っ先に上がるのはやっぱ・・・ボアダムスだろうね。それに、コーネリアスを薦めてきた人もいたっけ。とにかく、日本開催に関しては何とかしたい、そう思ってる。ただ・・・
A:それは、完全なる日本版をやりたい、ということですか?たとえば、スペインのPrimavera Sound(※バルセロナで初春開催のオルタナ・フェス。ラインナップが毎回抜群)やPitchfork(※ご存知米インディのご意見番:Pitchfork Mediaが仕切るフェス:シカゴ開催)では、「ATPプレゼンツ」名義で、フェスの中にステージを間借りしてもいるわけですよね?そういう風に、既に現地で確立したフェスの一部として、一晩なり二晩なり、手はじめにやってみる、という形式は考えない?
B:・・・・・・面白いな、そこを指摘されるのは。っていうのも、今言われた、Primaveraでやったような「ATPプレゼンツ」のステージを、うちのフェスでもやってほしい、みたいなオファーは、至るところから受けてるんだよ。ただ、Primavera以外で同じことをやるつもりは僕達にはなくて。何でかというと・・・
A:あれは非常にいいフェスですよね。
B:うん、すごくいいフェスだし、実際にフェスを運営している人達とも会って・・・彼らはもう、僕達の兄弟みたいな存在なんだな。音楽が本当に好きで、僕達がATPをやってるのとまったく同じ動機であのフェスをやっていて、営利追求は主眼になくて、とにかく可能な限りいいフェスにしよう、という考え方も同じ。でも・・・もし同じことを他のフェスでもやってしまったら、プリマヴェラにとってのスペシャルな点、ATPステージを提供できるっていう特権を彼らから奪うことになるし、それは僕達としてもやりたくないんだ。だから、代替案として僕達が考えているのは・・・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが「All Tomorrow’s Parties」を7インチでリリースした時、そのB面は「I’ll Be Your Mirror」だったんだよね。だから、いわばATPの姉妹イベントとして、I’ll BeYour Mirrorをやるのはどうか?って話をしていて。要するに、ホリデー・キャンプ体験を抜かしたATP、みたいなものね。
A:わー!!素敵っ!ぜひぜひ!
B:(笑)で・・・そこで僕が思ったのが、たとえば日本みたいにATPをオリジナルの形でやるのが難しそうな場所では、都市部でI’ll Be Your Mirrorとして開催する、たとえばその始まりとして東京でやる、ってのもありじゃないか?と。それがうまくいったら、そこからNYやLAみたいな場所にも持っていって・・・たとえば、LAにはロサンジェルス・シアターっていう会場が古いエリアにあるんだけど、そこには2つの会場が1つの建物の中に含まれていて、更に通りの向かいにももうひとつ会場があるっていう。それら3つを借り切って、素晴らしいバンドが常にどこかの会場でプレイしてるって状態にして、お客にはリストバンドをつけてもらって、会場を行き来してもらう、と。
C:Terrastock(※アメリカのカルトなサイケ系インディ・フェス)みたいな?
B:そうだね。でも、内容としては、僕達がこれまでATPに出てもらってきたようなバンドを集めるって感じで。
A:それは、今の段階ではまだアイデアの状態?
B:うん・・・できれば2010年に、まずUKで第1回をやれたらなぁ、と。夏の終わりか、秋頃を狙ってるんだけどね。それに、(ATPの)3日間参加できないって人もいるわけで、あれは決して安いフェスじゃないから、そういう人達にはいいんじゃないか?と。
C:場所としては、イギリスのどこらへんを考えてるの?
B:今考えているのは・・・ブラックプールのエンプレス・ボールルームとか。でも、ロンドンの中でもヴェニューを考えているところだよ。だからまあ、全英規模で、どこかでやれないか、と場所探し中なんだ。
C:イギリス北部で、ひとつそういう企画をやってもらえたら最高だと思う。とはいえ、ブラックプール自体、ちょっと微妙なエリアではあるよね?この手の音楽にあまり興味がないっていうか。
B:ああ、それはもちろん承知してるよ。ただ、あそこでやれば近隣のリヴァプール、マンチェスターからもオーディエンスが観に来るだろうし、英北部の各地全般からお客が来てくれるだろう、と。ほんと、北部出身のATP参加客からは「なんで南だけなんだ」ってよく文句を言われるけど、(冗談交じりに)Northはクソだからねえ(苦笑)。
A:(笑)。
C:たとえば、バトリンズの他の施設はもうチェックしたの?スケグネスとか。
B:スケグネスは・・・ああ、考えてはみたけど、ちょっと会場としては狭いし、キャンバー・サウンズで出くわしたような問題というより、とにかくキャパが小さいから、定員オーバーでオーディエンスが観たいバンドを観れない、みたいな状況になりそうで。
A:なるほど。
B:だからなんだよ、(バトリンズ:マインヘッド会場に)パヴィリオン・ステージを作ったのは。っていうのも、たとえばニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ、あるいはグラインダーマンみたいなアクトがあのでかいエリアでプレイすれば、確実に誰もが観れるからね。もちろん、パヴィリオン・ステージより小さな会場で、同バンドのライヴを2発、というケースもあるけれど。
C:でも、パヴィリオン・ステージって音響面で問題ありだよね?(※サーカス・テント型の円錐構造なので、反響や拡散などPAに多少難がある)
B:うん。だけど、その点に関しては横断幕を張ったりして対応しているし、実際、今後のATPでは星を縫い取った幕(※電球を縫い取った黒幕)を張る予定なんだよ。要するに、一種の・・・そう、プラネタリウムみたいな雰囲気にしたいなあ、と(テレ笑い)。けど、他にもあの会場には屋根にも問題があって、水漏れするんだよね。だから、あそこには幕を張れないんだ。水が溜まって、電気系統に問題を起こしかねないから。

このフェスは、トレンディな音楽かどうか、が問題じゃない

C:で、次の質問ではATPの始まりにちょっと戻りたいんだけど。自分は長いことギグに足を運んでるけど、90年代あたりに、(イギリスの)シーン全体に強い倦怠感、無気力みたいなものを感じて。誰も音楽に興味がない、フェスと言えば商業系のデカいものばっか、みたいな状況で・・・。
B:でもさ、だからニルヴァーナがウケたんだと思うけど?彼らが出てきて、みんな「ロックだ!これが必要だったんだ!」みたく感じた、という。
C:ああ、っていうか、90年代後半の話。
B:そっか、なるほど。
C:だから、ポスト・パンク以降いい音楽シーンを形作っていた地方都市も、徐々にその力を失っていって。で、それこそ音楽好きにとっては「どこに行けばいいんだろう?」っていう、ある種行き場を失った状況だったんだけど、自分が初めてATPに参加した時、「バラバラになっていた音楽ファンが集うべき場所、そこはここだ!」という思いを感じたんだよね。それこそもう・・・・・・音楽好きのための難民キャンプ、みたいな。
B:君が最初に行ったのは、どのATP?
C:モグワイの回(※Bowlie Weekenderに続き、All Tomorrow's Parties名義で開催された第1回。2000年)。
B:ああ、なるほど。
A:でも、それは当然だと思うけど?ATPには、「似たもの同士の集まったコミュニティ」の雰囲気が強いから。
B:だよね。
C:うんうん、にしても、あの第1回の時は、参加客の年齢層もものすごくバラバラで。その「幅広い音楽ファンのコミュニティ」という点は、ATPとしての第1回をやるって決めた時から考慮したの?それとも、そこまで狙わずランダムにやったって感じ?
B:ああ、あれはむしろ・・・僕達としては、単に自分達がいつも聴いている大好きな音楽、傾向の近い音楽を一堂に集めようっていうもので。だから、たとえば来るオーディエンスが18歳だろうが、30歳だろうが、それこそ45歳だろうが別に構わない、みたいな。だって、実際60代の人達でATPに来るお客さんだっているからね!で、そういう人達から「こういうフェスを待ってた」なんて言われると、こっちも「ありがとう、グレイト!」ってもんで・・・だから、このフェスってのは、トレンディな音楽かどうか、が問題じゃないんだよ。
C:・・・だけど、最近そっちの方向にやや流れ気味じゃない?(苦笑)
B:(苦笑)うんうん、でもそうならないように努力してるよ!
A&C:(笑)
B:だけど、「ATPに行くのがヒップでトレンディ」みたいに受け取られるのは、ある意味避けようがないことだからさ~(苦笑)。
C:もちろん、たとえば東ロンドン:ホクストンあたりをスキニー・ジーンズで闊歩してるような、ブルックリンかぶれのヒップスター気取りの若僧にしたって、音楽好きであることに変わりはないからね。
B:そうそう。でも、そういう連中がやたらと増えて、昔からATPに来てくれてる長年のファン達が疎外される、みたいな状況はこっちも避けたいんだよ。
C:うん、そこがさっき話した90年代の状況で。ってのも、80~90年代に音楽を聴いてきたファンは、「今の音楽はハードコアじゃない!」みたいな感じで新しいものに対して否定的になりがちなわけだけど、でも、じゃあ俺達どこに行けばいいんだ?!みたいな。
B:ああ。子供を連れて、ファミリー向けなEnd Of The Road Festivalにでも行くか、みたいな(苦笑)?
C:そうそう!
A:(キャプテンに向かって)でも、あんただってEOTR満喫してたじゃん。
C:・・・・・・それは、ここでは伏せておこう。
B:アッハッハッハッ!
C:ともかく・・・うん、だから僕にとっては、ATPってのはいわば神からの授かりもの、くらいに大事だったんだよ。
B:オーケイ。
C:ほんと、「これこそ自分が待っていた、でも恐らく実現しないと思っていたフェスだ」って感じで。で、そのATPをやることにした時、もちろんフェニックスだとかレディングみたいなメガ・フェスがひとつの反面教師的な開催の動機になったわけだけど、他のフェスで、君をインスパイアしたものは?たとえば、キュレーターが仕切る仕組みのMeltdown Festival(※1993年~ロンドンの文化施設Southbank Centreで開催。約1ヶ月にわたり、キュレーターがマルチ・メディアのプログラムを組織する。過去に、エルヴィス・コステロ、ジョン・ピール、ボウイ、ニック・ケイヴ、スコット・ウォーカー、モリッシー、パティ・スミス、マッシヴ・アタック、オーネット・コールマンらがキュレーション)とか。
B:Bowlie Weekenderをやった時、「このイベントはベル&セバスチャンというキュレー
ターがまずありきで、彼らが入れ込んでるバンドを選んでいくシステム」って点を、僕達も強く意識していたんだよ。で、最初のアイデアはあれを毎年開催のフェスにしたいってもので、要するに年に1回Bowlie Weekenderをやっていこう、と。で、実際あれをやってみて、僕はもう「これだっ!」て感じてね。自分が聴きたい音楽ばかりだし、場所も最高、みんなが集まって・・・って調子で、それこそもう、「インディ・ミュージック版ライヴ・エイドじゃん」みたいに思ったよ!もちろん、チャリティとボブ・ゲルドフは抜かして、だけど(苦笑)。
A:(笑)。
B:で、僕もすごくエキサイトしたんだけど、ベル&セバスチャンの側は「いや、これは1回こっきりのユニークなイベントにしたい」って意向でね。だから、僕としては彼らからの祝福を受けた上で、このアイデアを引き継いでもいいかな?と。それで、All Tomorrow’s Partiesと名づけたフェスをやることにしたんだ。でも・・・実際の話、キュレーターのアイデアは、第1回を準備している段階では考えてなかったんだ。ところが、モグワイに出演依頼した時、彼らに「自分達のステージに出るバンドは、全部事自分達で選びたい」って言われて、そこでふと、「だったらいっそ、君達が週末に出るバンドを全部決めれば?」ってことになって。要するに、キュレーターを立てるって発想だよね。で・・・うん、もちろん、Meltdownがキュレーターを主役に据えたイベントだってのは承知してるけど、ほんと、彼らを真似しようって思いはまったくなかった。っていうのも、ふたつのフェスは性質が異なるものだからね。僕達の場合は週末の3日間丸ごと体験というものだし、かたやMeltdownは、ルー・リードが観たければその日だけ選んで行ける、という。でも、彼らの存在には感謝しているよ!だって、当時のMeltdownのディレクターだったデイヴィッド・セフトンは、しょっちゅう「ATPなんざ、質の低いMeltdownだ」みたいに吹聴していて(苦笑)・・・だけど、まったく違う種類のフェスだからね。だって、向こうはシーズン制のフェスで、行きたいと思うショウだけ、つまみ食いできるわけじゃない?だけどATPにやって来ると、半ば強制的に、今まで知らなかった何かに対してオープンになって、それを体験せざるを得なくなる。それに、経験としても違う。Meltdownの場合、「会社で仕事を終えて夕方会場に向かい、ショウを観て、また家に帰る」ってもんでしょ。
C:逆に、新世代のフェスについてはどう思う?たとえばSupersonic Festival(※英中部バーミンガムで開催されるメタル/ノイズ/実験音楽系フェス。2003年スタート)なんかは、僕からするとATPの成功があってこそ始まったフェスじゃないか?と感じるけども。
B:ああ、Supersonicを運営している連中とは知り合いだし、うん、彼らのやってることは僕達も全面的に応援してるよ。ただ、ATPの後に始まったフェスのいくつか・・・たとえばSupersonicとかGreen Man Festival(※2003年に始まったウェールズ開催の野外インディ・フェス。サイケ、フォーク、アメリカーナなどをフィーチャーしたブティック・フェス)に対して、僕が唯一「どうなのよ?」と感じるのは・・・・・・たまに思うんだ、ああしたフェスのラインナップって、僕達が出演させたバンドを、ATP開催のすぐ後に自分達のところにブッキングしてるようなもんじゃない?と。
C:特にSupersonicはそうだよね。
B:(苦笑)で、それって・・・なんというか、考えさせられるわけ。「もっと自分自身のイマジネーションを働かせようよ?」って風に。もちろん、Supersonicは彼らなりに素晴らしいことをやってるし、悪い意味で言ってるんじゃないよ。ただ、同じようなアクトが出るケースが多いなとは思うし・・・まあ、単純な話、彼らも僕達と同じような音楽に入れ込んでるってだけのことかもしれないし、別に批判するつもりはないんだ。ただ、とにかく出演アクトが頻繁に被るなあ、と(苦笑)。
C:まあ、もともとが小さなパイなのかもね。
B:うんうん。それに、当然の話、僕達がそうしたバンドを占有しているわけでもないし、どのフェスに出ようがそれはバンドの自由。だからまあ、僕がこういうことを言うのは見当違いなのかもしれないね。
A:アメリカのフェスに関して、影響を感じることは?たとえば、もっと内容的にはハードコアだけど、No Fun Fest(※米ブルックリン開催のノイズ/実験音楽フェス)とか。
B:ああ、No Fun?あのフェスをやってる連中は、「ソニック・ユースがUCLAでやったATPに行って、こういうフェスをやりたい!と思った」って言ってたよ。
C:それ聞いて、さぞや自慢でしょ?(笑)
B:ハッハッハ!いやいや~、でも、あのフェスをやってる子達はクールだよ。すごくいいバンドをブッキングしてるし、サーストン・ムーアが主宰したATPにもそうしたバンドがいくつか出た。自分がいつも行きたいと思っていて、でもまだ行けてないフェスが、あのフェスだね。ってのも、マジにコアなノイズ・ミュージックばっかだから。まあ、その中にはグレイトと思うバンドもいれば、退屈なバンドも混じってるけど。
C:でも、そこが僕にとってはATPの方がベター、と感じる点なんだよね。もっと・・・
A:幅が広い。
B:うんうん。ジャンルで特化したラインナップもいいけど、それって何回か続けてうち、一面的に思えてくるからね。やっぱり、ラインナップには幅を持たせないと。そういえば、僕にとって個人的にベストなATPのひとつが、マイク・パットンとメルヴィンズの回(※2008年)で。あれは行った?
A&C:うん。
B:良かった!ってのも、スケジュールを決めている時、マイク・パットンが「このステージ、ロック・バンドばっかりじゃん」とか言ってきたんだけど、僕達は「そうじゃないよ、そのステージにずっと留まってる必要はなくて、他のステージで色々別のバンドも観れるから」って感じで。たとえば、全然毛色の違うホワイト・ノイズとかね。かと思えば、メルヴィンズやマストドンみたいなバンドだって観れるわけで・・・だから、前からあの2組をキュレーター・チームに据えるのは、どちらか一方だけに任せるよりもいいアイデアだな、と感じていて。というのも、メルヴィンズが全アクトを選んだら、たぶんヘヴィ・ロックに偏り過ぎな内容になってただろうし。
C:あの時、ファーマーズ・マーケット(※ノルウェー出身の<ブルガリア民族音楽・ミーツ・ジャズ>バンド。最新作がIpecacから出た)は観た?最高だったよ~~。
B:(苦笑)いいや。っていうか、観れなかったアクトほど、自分が好きなバンドだったりするんだけどね!でもさ、そこなんだよ。彼らみたいなバンドは、どこであっても滅多に観れるもんじゃない。ああいうバンドを呼ぶ点のいいところは、そこなんだ。参加客の中には、「このバンドの12インチ持ってるから、ひとつ観てみるか」みたいな感じでトライする者もいるわけで。
C:僕にとってのベストなATPモーメントを言わせてもらえば、あれはシェラックがキュレーターした2回目。あれは、もう自分にとっての生涯ベスト・モーメントじゃないか?っていう。
B:へー、そうなんだ。確かに、あの週末は楽しかったけど・・・
C:何だったかと言うと、ミッション・オブ・バーマがプレイしてるのを観てて・・・彼らはいいバンドだし、なるほどと思って後ろで観てたんだけど、正直退屈になってきたから、「下の階のステージで何やってるか、ひとつチェックしに行こうぜ」って友達と降りて行って。で、そこで演奏中のオクシズに出くわしたっていう。
B:ああ!あの、箱の上に立ってプレイしたやつね(笑)。
C:そうそう。革のキャットスーツを着た男が箱の上に仁王立ちして叫んでて、他のメンバーはオーディエンスの中に乱入してって・・・「こりゃ一体なんだ?!」みたいな感じでぶったまげたし、最高だと思って。

実現させたいキュレーターはウェス・アンダーソン。仕事しやすかった(過去の)キュレーターは、ウォーレン・エリス、サーストン・ムーア、マイク・パットン

A:でも、キュレーターの選択、という点でも苦労が多くありませんか?どのバンドでもATPキュレーターをやれるってわけじゃないし、キャリアとカリスマ、ネーム・ヴァリュー、そしてコネクションが条件じゃないか、と。そこでモグワイやソニック・ユースが出てくるわけだけど、人気があるバンドだからって、たとえばアーケード・ファイアがATPでキュレートする姿はあまり想像できなくて・・・
B:ってことは、コネの多いバンドが重要って言いたいの?
A:そうじゃなくて、ATPでキュレーターを担当できるアーティストって、純粋にある程度数が限られてくると思うし、その意味で毎回「ネタが尽きないかな、次は大丈夫かな」と心配で。
B:(苦笑)。
C:っていうか、これまでに、キュレーターをやってもらいたくて、でもまだ実現してない人って誰?あるいは、出てほしいのにまだ出演を果たしていない人は?
B:ああ。ウェス・アンダーソン!
A:ワーオ!
C:実際に彼にアプローチしたことは?
B:うん、こうやってインタヴューの機会があるごとに、「もしかして読んでくれるかも?」と思って彼の名前は毎回出してるし(笑)、友人で彼を知ってる人間もいるんだ。だから、色々と画策はしているんだけどね。
C:そうやって噂を立ててるうちに、彼もきっとキュレーターをやらざるを得なくなるんじゃない?
B:ハッハッハッ!まあ・・・そうだね、うん、今・・・企画を進めている事柄は他にもいくつかあって。ただ、ここではまだ明かせないんだけどね。でも、もしもこのアイデアが次のNightmare Before Christmasで実現したら・・・この企画は、僕が長いことあたためてきたものなんだけど、みんな相当びっくりすると思う。ま、もしかしたら君達はイマイチって思うかもしないけど、うん、たくさんの人間が「ワオ!」って驚くと思うな。
A:ヒントは?映画監督だったり?
B:いやいや、バンドだよ。でも・・・うん、ウェス・アンダーソンはぜひやりたいな。それにまあ、出てほしいバンドについては、色んな人からも言われる。たとえば、「ニール・ヤングはいつ出るの?」なんて聞かれもしたけど、僕としては「ニール・ヤングがキュレーター、というのがいいアイデアとは思えない」ってもんで。でも、「・・・けど、たとえば彼が『オン・ザ・ビーチ』を全曲演奏する、あるいは『トゥナイト・ザ・ナイト』を再演する、みたいな内容だったら、最高だろう」とは思うし。
C:それ、間違いなくいいね~。文字通り〝『オン・ザ・ビーチ』・オン・ザ・ビーチ〟ね。
B:・・・ハハハハ!確かに!それ悪くないアイデアだ(苦笑)。
C:あと、僕の友人が言っていたのが、バトリンズ会場の朝食ビュッフェを出すレストラン、あそこで即興ギグをやっちゃどうか?と。朝ごはん時に、ミュージシャンがミニ・セットをやるっていう。
B:ああ~、あそこね。なるほどなるほど!誰がいいかな?・・・・・・ライトニング・ボルトとか?(笑)
A:(爆笑)。
C:いやいや、もっと穏やかなバンドをひとつ・・・(笑)
A:でも、そのぶんまたATPがギャラ払わなくちゃいけなくなるんじゃない?
C:いや、そのギグはミュージシャンがロハでやるんだって!ダニエル・ジョンストンみたいに(※ダニエルはATPが気に入り、会期中ゲリラ・ギグを何度も行った)。
B:ハハハ、そうだね。あ、そういえばダニエルはまたATPに来るよ、5月のマット・グローニングの回に。で・・・ダニエルのマネージャーって彼の兄なんだけど、彼と話していて、「ダニエルの出演日はいつ?」って聞かれたんだけど、僕の返事は「そりゃもう・・・毎日でもどうぞ!」ってもんで(笑)。
A:ダニエルは、LAでのマット・グローニング回(※2003年)にも出ましたよね。でも、あの時は彼が飛行機のフライトを逃してしまって・・・
B:そうそう!
A:で、やっと彼が到着した時にはお客がほとんどいなくて、ちょー可哀相だった、見ていて。
B:うん、でも、あの時は・・・フライトを逃してステージ時間に間に合わなくて、「ダメだ、プレイしてもらえない」ってことで、僕達、マット・グローニング、そして彼とで立ち尽くしてたんだよね。そしたら、ダニエルがワーッて泣き出しちゃって・・・
A:うー、それは切ない。
B:そこで、これはなんとかしないと、ってことになって、「分かった、任せて」って急遽演奏してもらうことになったんだ。「どうするよ??」みたいに色々と大変だったんだけど、マット・グローニングの方も「断固、ダニエルにはプレイしてもらわないと!」って感じだったから、結局プレイしてもらって・・・とは言っても、あのステージが終演してからだったんで、あまりお客がいなかったのは残念だったな。でも、そうだね、あの回は実際いい内容だったよね。だって、クランプスが出たしさ。
A:最高でした・・・っていうか、すごい衝撃だった。
B:(笑)で、彼らを前回の5月に呼んで、ジーザス・リザードやスリープなんかと一緒に出てもらいたかったんだけどね(※ラックス・インテリアは2009年2月に死去)。
C:そういえば、ダーティ・スリー回(※2007年)の時、アリス・コルトレーンが出るはずだった、というのは本当の話?
B:うん、彼女をゲットしようとしていて・・・そのさなかに、亡くなってしまって(※2007年1月)。
C:そうだったんだ・・・もしもあれが実現してたら、僕にとってはもう、ある意味究極の体験だっただろうな、と。
B:うんうん、ほんとそうだよな。実際、United States of ATP(※2006年)に取り組んでた時、僕達がずーっと聴いてたのが(グラインダーマンの)「Electric Alice」だったんだ。で、ウォーレン(・エリス)も「そうだ!アリス・コルトレーンをブッキングしなくちゃ!」みたいな調子で、僕達も出演交渉をしていて・・・でも、残念ながら彼女は世を去ってしまって。
C:っていうか、彼(ウォーレン・エリス)ってものすごいエネルギーの持ち主じゃない??口を開くたび、猛烈なコメントが出てきて。
A:MCが毎回最高。映画の中でもかっこよかった。
B:うん、彼は・・・そうだね、キュレーターの中でも、ウォーレン、サーストン・ムーア、そしてマイク・パットンの3人は、たぶん一緒に仕事してもっとも楽しかった人達だと言えるね。もちろん、他にも素晴らしいキュレーターはたくさんいたけれども・・・うん、特にウォーレンの場合、彼のアプローチというのは、それこそもう(キュレーターの役を)自分の職業みたいに捉える、というもので。向こうからネットにサイン・インしてきて、「さあ!スカイプでミーティングだ!話し合おうぜ!」みたいな(笑)。
A:ははは!
B:で、そこからもう、希望リストが次から次へと送られてきて。
A:素敵!
B:だから、ダーティ・スリーの回が、もしかしたら僕の一番お気に入りの回だったかも?
C:あれは素晴らしい内容だったよ。
B:っていうのも・・・ちょうど批判に晒された後だったからね。サーストン・ムーアの回の後、文句を言う連中がすごく多かったんだよ。だから、こっちとしても「あー、ヤバい。これはまずいかも」みたいに感じていたんだ。でも、予想に反してダーティ・スリーの回はすごくうまくいったし・・・
C:天気もピーカンで最高だったしね!
B:うん、ほんといい天気だったよね。でも、あの時・・・ノイバウテンのメンバーのひとりが海に泳ぎに行って、帰ってきたところに出くわしたんだけども、そいつスピードー(競泳用水着)一丁でさぁ。あれは、もう2度と見たくない光景だったね!
A&C:(爆笑)。

ファン投票(による出演者決定)のシステムは、やるのが決して楽ではなかった

C:もうひとつ聞きたかったのは、ATPはこれまでに2度、ファンの人気投票でラインナップを決めたわけだけど(※参加客の投票でラインナップの半数が決定。残る半分はATPがチョイス)、その民主主義は1回目と2回目、どっちが成功だったと思う?
B:ああ・・・1回目の時は、ファン側のイマジネーションがちと足りないなあ、と感じたね。既にATP出演済みのバンドを選ぶ連中が、やたらと多かったんだ。なのに、僕達は「同じバンドばかりが何度も出演する」みたいな批判も受けてきたわけで・・・でも、それはキュレーターの選択なんだし、もちろん僕達の側も「このバンドはもう前にも出たことがある」って伝えはするけど、中には「どうしてもこのバンドは外せない」って譲らない人達もいるから。ともかく・・・要するに、しょっちゅう同じバンドが出る、と批判を受ける割には、いざファンに任せたら同じような顔ぶれを選んできた、と。で、こっちももう、ファン投票の2回目を企画した時は「お前らふざけんな!」みたいな感じで(苦笑)、過去に出演したバンドは投票禁止、という規則を設けたわけ。でも、それはそれで逆効果だったんだけどね、ってのも、おかげでみんな「選ぶのが難しい、ハードル高過ぎだ~」みたいに考えちゃって。ってのも、彼らが観たいと願うバンドは、ほぼ全てATPに出たことがあるから。でも、そうだな、2回目の時は、ファン側よりもATPサイドのチョイスが勝ってたんじゃないか、とは思う。
C:僕個人としては、2回目のファン投票の方が成功だったんじゃないか、と思うけど。
B:へえ、そう?
Cっ:てのも、第1回の時に、宿舎をシェアした連中に「ディーヴォ令」を出したんだよ。「俺のシャレーに泊まる奴は、全員絶対ディーヴォに1票投じろ!でなきゃ泊まらせない」って。
B:(苦笑)。
C:なのに、あの時は他のファンの投票がロクでもなくて、順位結果をウェブサイトで見ながら「お前ら、なんでこんなバンドに投票するんだよ?!票を無駄にするな、バカ!」みたいにイライラさせられて。だから、2回目でディーヴォの出演が決まった時は万・万歳だったな。
B:でもさあ、1回目の時なんか、どっかのバカがウィーザーに投票してきて。僕としては、「一体誰だ~~~っ、こういうリクエストを出してくるのはっ!(怒)」みたいな。
A:(汗)・・・・・・でも、そういうことやるのは日本のファンかもしれない・・・(※筆者は投票していません、念のため)。
C:間違いないね、日本人はウィーザー大好きじゃん。
B:てかさあ、僕としてはもう、「お前ら、こんなチョイスで自分が恥ずかしくないのか?」ってもんで。だって、ウィーザーなんてほんと・・・超クソじゃん?!
A:(爆笑)。
C:あ~~っ(笑)!道理でATPが日本で会場を見つけられないわけだよ。
B:?
C:ウィーザーをけなした、その瞬間にアウト。
B:ハハハッ、(苦笑)そうなの?ウィーザーってそんなに日本で人気あるんだ。
A:はい、根強いっす。
C:それはともかく、僕にとっては、ファン回2回目の方が興味深い発見が色々あったんだよね。たとえばニコ・ムーリーとか、ほとんど知らなかったけど、すんごく良かったし。
B:てか、彼をピックしたのは僕だよ!(笑)
A:てか、「彼はマストで観ないと!」って会場に引っ張って行ったのは私!
(一堂:笑)
C:そうか、ニコはATP側のチョイスだったか・・・でも、ハーヴェイ・ミルクは?あのバンドも抜群だったけど。
B:あ、あれは、ファンのチョイス。でも、スリープ、ニコ・ムーリー、ジーザス・リザードは僕が決めたんだ。でも・・・・・・フーッ、どうなんだろうなぁ。あのシステムは、やるのが決して楽ではなかったからな。ファンは、僕達が「えー、どうよ?」って思うようなアーティストにばっかり投票するし、あるいはどう考えても出演は無理だろう、というような高望みの希望もぶつけてくるし・・・だから、うーん、果たしてATP VS The Fansに、第3弾の可能性はあるのかないのか・・・
C:うん!それが聞きたいポイントなんだけど。
B:・・・そうだね、その件について首をタテに振らせるには、僕をしこたま酔っ払わせた上ではないと無理だろうな(苦笑)。
C:っていうか、タテに振ってもらいたくないよ!
B:だよね!(笑)
C:僕はもう、ATPに関して言えば、キュレーターのあり方は「不本意ながらの絶対独裁制」がいいと思っていて。
B:そうだよね・・・だからまあ、あれはレーベルがコンピレーションを選ぶようなもので、そのひとつの切り口だった、と。だから僕達としては、あれはひとつの経験として終了したって感じだし、さあ今度は次の何かに取り組もう、ってところかな。だからまあ、こっちはとにかく面白いキュレーターを見つけようと努力するだけ。で、フェスをエキサイティングなものにし続けて・・・で、いいバンドにどんどん出演してもらえば、その中に素晴らしい音楽や映画の趣味の持ち主も見つかるだろうし。
C:だからウェス・アンダーソンが出てくるんだね。
B:そうそう!もちろん、彼の映画が僕達もとにかく大好きだけど、なんといっても音楽の使い方のセンスが最高だからさ、彼は。
A:(激しく同意)。
C:確かに。「ここぞ」という時の曲の使い方がめちゃ上手い人だよね。
B:うん。「ボトル・ロケット」のDVDを買ったら、ブックレットにマーティン・スコセッシのインタヴューが含まれててね。で、その中でスコセッシが「あるシーンでローリング・ストーンズの曲が流れてくる、その瞬間は〝まさに!〟って感じでパーフェクト。そうした点が、ウェスが他の幾多の映画監督とは違うところだ」ってことを語っていて・・・
C:ああ、っていうかそれはもう、スコセッシも同様じゃない?「ミーン・ストリート」の冒頭の〝ビー・マイ・ベイビー〟の使い方とか、まさにそうだし。
B:うんうん、確かに!てか、マーティン・スコセッシもキュレーターには向いてるかも・・・?
A:でも、ストーンズとかマジに呼びたがるんじゃない?!
B:ありかもよ~?ウェンブリー・スタジアムを借り切ってやるとかさ(笑)!
A:で、ATPに関して常に感じるのは、このフェスはとても真っ当で、しかも観客を大事にするフェス、主宰者の顔が見えるフェスってことだけど、そういう姿勢を貫くのは決して楽じゃないだろう、と。で、もしも色んな状況が重なって、ATPが本来の姿やスピリットから変わらざるを得なくなったら、もしかしたらそこであなた達はATPを終わらせるのも厭わないんじゃないか?と思うんですが・・・
B:んー・・・
A:もちろん、続いてほしいですよ!だけど、ATPみたいな特殊なフェスを継続するのは、毎回大変だろうな、と。
B:うんうん、言いたいことは分かる。っていうのも・・・僕達は毎回、前回のATPよりも絶対ベターな内容にしよう、そう努力しているし・・・たとえば2009年は、ATP VS The Fans第2回をやって、12月にはMBVを確保、そして10周年記念ショウまで実現できたわけだよね。でも、だからなんだよ、今年は更にもう一段ステップ・アップさせなくちゃ、と考えたのは。それもあって、ペイヴメントみたいなバンドをどうしてもゲットしたかったんだ。だから、そうだね、回を重ねるごとに難しくはなってきている。で、本音を言わせてもらうと、もしも僕達の側でアイデアがすっかり出尽くしてしまって、また、ちゃんとしたキュレーターをゲットできない、そういう地点にまで達してしまったら、僕はむしろ、そこでATPをやるのをストップしようとするんじゃないか、と。そこからすっかり身を引くというか、「自分達は、もうこれだけのことをやってきた。しばらくの間それはグレイトな経験だったけど、今後は違うことを・・・」みたいな。それに、ATPに魅力を感じるファンというのは、たとえばでかい商業系のロック・フェス――Vフェスティヴァルとかに行く客みたいに、「食品の買出しのついでに、スーパーマーケットでCDも買う」みたいな人達ではなくて(苦笑)、もっと知的な音楽好きだと思うんだよ。で、そういう人達ってのは、ごまかしが利かない相手でもあってね。もちろん、僕達がごまかそうとしたってわけじゃないよ!けど、既に過去にやったことの焼き直しばっかり、なんてことをやり始めたら、それこそもう、ウェブサイトのメッセージ・ボードに抗議・不満のメッセージがどっと寄せられるだろうからさ(苦笑)!

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