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コーチェラ・フェスティヴァル2010体験記:その①
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2007/06/26

Modest Mouse

20May2007 ATP vs YOU the Fans=Day3

左がジョニー、右端がアイザックです

新作「We Were Dead~」発表直後のイギリス上陸となったモデスト・マウス。イギリスでは前作からのシングル「Float On」のスマッシュ・ヒットでやっとこさ注目を浴びたところだが、「グランジ以降」の米北西部シーン(シアトル、ポートランド、オリンピア)を盛り立て続け、メジャー移籍後もたとえばサブ・ポップ・ルネッサンスに大きく寄与したり、10年以上のキャリアはUSインディ・ファンから強い支持を受けている。とはいえ、最後となったアメリカ:ロサンジェルス版ATP(03年)のキュレーターを担当したり(あの会場悪くなかったので、なんとか再現してほしいんですけどね)実はATPとも縁が深く、今回やっと本家=イギリス版に登場することになったのは、モデスト・マウスとATP双方のファンとして、ちょっと感慨深かったりします。
しかし、「We Were Dead~」が常以上に大きな話題を巻き起こした理由のひとつに、ジョニー・マーの加入が上げられるだろう。もともとは「様子見」から始まったジャム・セッションが、あまりにウマが合ったためアルバムに発展、遂にはバンドのオフィシャル・メンバーに迎えられた・・・というのは珍しい話。最初にモデスト側からオファーがあった時、シンガー・ソングライター=KID4077として売り出し中の息子ナイル(15歳)に「父ちゃん、絶対受けるべきだ!」と薦められてセッションに向かったという話もあるし、ここしばらくポール・ウェラー的な「かっこいいオヤジ道」をたどりつつあった感のあるジョニーにとっても、今回の共演は若いファンにリコネクトできる格好のチャンスだったと言える。ザ・スミスの中で、実は一番普通にロッカーだった人が彼なので(モリッシーは詩人で預言者)、やはり彼にはギターをがんがん弾いてほしいです。最後まで。

モデストの前にメイン・ステージに出演したバット・フォー・ラッシェズが大いに盛り上がった後(彼女、ほんとに人気ですね)、ステージ前方に陣取りバンドの登場を待つ。ドラム・キット2台(ブラック・ハート・プロセッション他のジョー・プラマーがパーカッショニストとして定着)、キーボード、バンジョー、アップライト・ベース、アコーディオンなど次々に運び込まれ、なかなかに壮観。彼らはストレートなロック・バンドとしてもめちゃくちゃかっこいいのだが、過去2、3作で広がったサウンド・パレットを反映した今のステージはより多層的で奥行きがある。ウィルコ同様、アメリカのバンドはこうして徐々にシンプルなロックンロールから世界を広げていくプラス傾向があると思うし、だからこそ長く付き合える。その冒険心(たまにファンから失敗作と言われることもあるけど)は、たとえばオアシスには真似できないだろうなー。ま、全然違うバンドですけどね。
メンバーが配置に付き、最後にアイザック・ブロック登場、拍手が湧き起こる。相変らずガタイはでかいしタバコは吸うわで(禁煙したんじゃなかったの?!)、見た目はアメリカのオールド・スクールなタフガイ(ジョシュ・オムに似てるよね、佇まいが。どっちも大好きだけど)。しかも新作のUKお披露目ライヴ&ジョニーの里帰りなだけあって気合も入りまくりで、演奏は1曲目から早くもバースト!/アイザックの頭からは湯気が立っているようにすら見える。ポップな疾走感がみずみずしい「Florida」でバランスを掴んだのかウォーム・アップも終わり、アルバムからのファースト・シングル「Dashboard」の小気味良いリズムがスタート、オーディエンスもやっとヴィヴィッドに反応し始める。モデスト・マウスの楽曲はちょっと複雑で、歌メロとビートがそっぽを向きながら、しかしなぜか調和していく・・・という妙がなんとも痛快なんだけど、この曲はそれがポップに結晶したいい例。この時点で、筆者は踊りまくり状態に突入です。ジョニーも、ギターはもちろんだけどコーラスでも相当貢献していて、その「ワンオブバンドメン」な自然な感じがよろしい。アメリカ経由でイギリスに帰還というルートに面映さを感じているのか(?)MCも控えめかつやや皮肉なトーンだったけど、80年代組UKバンドがアメリカで珍重され活路を見出しているのは今に始まったことじゃないので(ザ・キュアー、ニュー・オーダー、モリッシー他)、テレないでほしいと思います。余計なお世話だが。
しかし続く泣きの名曲「Fire It Up」(アルバム通りの順番ですね)では反復&アイザックのモノローグめいた歌唱をメインにしたストイックな世界がじんわり広がっていき、硬派ながら繊細さを併せ持った彼らの懐深さに胸打たれる。筆者が一番好きなモデストのアルバムは「The Moon and Antarctica」なんだけど(我ながら暗いっすね)、こんな風に闇や弱さを女々しくなることなく打ち出せるバンドは、やはり好きです。「We’ve Got Everything」でがっちりタフに揺り戻し、古いアルバムからの楽曲も織り交ぜつつ、やはり一番盛り上がったのは「Float On」。この曲の「All Right!」コーラスには何度でも励まされるけど、ヨーロッパの前に回ったUSツアーほどの盛り上がりにはやはり達することなく(観てないけど、確実にシンガロングだったと思う)、ちょっと残念。ほぼ1曲ごとに楽器パートを入れ替え、パワーと美、技を凝縮したバンド力を展開している今のモデスト・マウスは、たとえば楽曲を知らなくても、純粋にパフォーマンスだけで聴かせることのできるバンドに成長したと思う。誰かのエゴが突出するとバンドは途端にうざったくなるものだが、モデストは全員がフラットに貢献している。ジョニー・マーという、たとえばイギリスのバンドマンだったら畏れ多くてひれ伏してしまうアイコンが、このバンドの「一部」になることを了承したのは、そんなピュアなミュージシャンシップがモデスト・マウスの中に存在するからだろう。とはいえ、そんなタイトな時期が永遠に続くとは限らないので(バンドも体力と集中力、体力&年齢の賜物だからね)、サマーソニックの来日は、万難を排して観てもらいたいなあと思います。


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