Live

10/07/18|Roxy Music@Lovebox Weekender
17July2010/Victoria Park
10/07/15|Perfume Genius
13July2010/Hoxton Hall
10/07/01|Jeff Tweedy
30June2010/Union Chapel
10/06/30|Here We Go Magic,Grizzly Bear@Serpentine Sessions
28June2010/Hyde Park
10/06/27|Dirty Projectors with Alarm Will Sound
25June2010/Barbican Centre
10/06/06|Beach House
1June2010/Heaven
10/05/26|Randy Newman
19May2010/Royal Festival Hall
10/05/19|All Tomorrow's Parties2010--WK2 curated by Pavement
16May2010/Butlins,Minehead
10/05/19|All Tomorrow's Parties2010--WK2 curated by Pavement
15May2010/Butlins,Minehead
10/05/17|All Tomorrow's Parties2010--WK2 curated by Pavement
14May2010/Butlins,Minehead
10/05/12|All Tomorrow's Parties2010--WK1 curated by Matt Groening
9May2020/Butlins,Minehead
10/05/12|All Tomorrow's Parties2010--WK1 curated by Matt Groening
8May2010/Butlins,Minehead
10/05/11|All Tomorrow's Parties2010--WK1 curated by Matt Groening
7May2010/Butlins,Minehead
10/05/01|Coachella Festival Day3
18April2010/Empire Polo Fields,Indio,CA
10/04/27|Coachella Festival Day2
17April2010/Empire Polo Fields,Indio,CA
10/04/25|Coachella Festival 2010--Day1
16April2010/Empire Polo Fields,Indio,CA
10/04/24|Coachella Festival 2010
コーチェラ・フェスティヴァル2010体験記:その①
10/04/23|Stuck in LA...
10/04/13|Rain Machine
12April2010/Village Underground
10/04/03|The Besnard Lakes
31March2010/Cargo
10/03/08|John Cale and Heritage Orchestra performing Paris1919
5March2010/Royal Festival Hall
10/02/20|Beach House
17Feb2010/Bush Hall
10/02/17|Tune-Yards
15Feb2010/Cargo
10/02/11|Vampire Weekend
5Feb2010/De La Warr Pavillion,Bexhill on Sea
10/02/05|The EX
03Feb2010/Tufnell Park The Dome
10/01/30|Midlake
28Jan2010/Tabernacle
09/12/17|Julian Casablancas
16Dec2009/The Forum
09/12/15|All Tomorrow's Parties 10th Anniversary
11-13Dec2009/Butlins,Minehead
09/12/15|Graham Coxon
28Nov2009/Barbican Centre
09/12/02|Patrick Wolf
15Nov2009/Palladium

2009/09/24

Green Man Festival

23Aug2009/Brecon Beacons,Wales Day3

Trembling Bells
Rodriguez
Dirty Three
Wilco(The Band)

<3日目>

いよいよ最終日。観たいバンドは後半に集中していたので、割とのんびりのスタートだ。翌日出勤の社会人も多いためか、午後を過ぎたあたりでお客の数も徐々に減っていった。ライヴの前に、暇つぶしにポップ・クイズに参加。賞品でCDとか本がもらえるし、自由参加で元手もかからないのでやらない手はないだろう。つーか、いつかATPのパブ・クイズでトップを奪取~1位賞品:次回ATPのチケットをゲットするのが夢なので、練習も兼ねてます。しかし結果はそこそこで、空手で退出(涙)。やはり、日頃からポップ・マメ知識&要らぬ雑学を鍛えておくのが大事らしい。がんばろうっと!
メイン・ステージで、ブリストル出身の多国籍バンド:Zun Zun Eguiを観る。モーリシャスや日本出身のメンバーもいるというこのバンド、ダンサブルなリズムと七色のキーボードでポップそのもの。たとえばゴー!チームのように、時にそれがまとまりのなさにも繋がっているが、メンバーの熱演と哀感を帯びたメロディの親しみやすさで最後にはお客の喝采を集めていた。Dengue Feverなんかが好きな人にはお勧めです。続いて、好きなアヴァンギャルド系ドラマーであるアレックス・ニールセン(元Scatter、またボニー・プリンス・ビリー、カレント93とも共演)の新プロジェクト:The Trembling Bells。厳選されたリリースを続けるHonest John’sから先ごろリリースされたファースト・アルバム「Carbeth」は、プリミティヴとも言えるフォーク~中世音楽にインスパイアされた秀逸な作品だったので、とても楽しみにしていた――んだけど、ライヴではカントリー・ロック度が強くてアララ??シンガーであるラヴィニア・ブラックウォールの唱法はサンディ・デニー直系で、実はサンディ・デニーにいまだ抵抗のある身としては(何度もトライしてるのだが、どうもまだ彼女の良さが沁みてこない)、あの手の歌い方で朗々と歌われると辛い・・・とはいえ、アレックスのシャープなドラミングには酔わされました。

そのままステージそばの樹の下でウトウトしていたら、参加していた子供客を集めての行進がスタート。ドラゴンのはりぼて(っていうかクジラ?)を掲げてメイン・アリーナ内を練り歩き、好き勝手にタイコだの歌を歌うキッズは大喜び。その微笑ましい様子を眺めていても感じたが、このフェスは本当に子供フレンドリーだ。お子様向けワークショップだのフェイス・ペイント、シャボン玉ショップはもちろん、木登りや水遊びの場もふんだんにあって、ライヴに興味がなく、親に無理やりフェスに連れて来られてムクれているお子様達をなだめるのも楽そうです・・・と書いたものの、このドラゴン行進が終わって少しして、次のアクト待ちのオーディエンスの間にどよめきが走った、「なに?」と思い見やると、若い男性がストリーキングを決行(笑)、場内を突っ走っている。フットボールの試合他、スポーツ・イベントではたまにあるらしいけど、まさかこんなに平和なフェスでお目にかかるとは。別にヤバい変人ではなく、ひとしきり走り終わったら友人達に歓待され、すぐパンツを穿いてもとに戻っていたので、恐らく「ここを素っ裸で走ってみせたら50ポンドやるよ~」とかけしかけられての賭けだったんだろう。でも、子供には刺激強すぎ?
そのままScott MatthewsのAORスレスレ(デイヴィッド・グレイとかね)の、しかし職人技な歌とメロディにしばし浸った後、文学テントでDavid Thomasを観に行く。はい、あのペレ・ウブの。昨年発表された、彼の手によるアルフレッド・ジャリの「ユビュ王」翻案を朗読するという趣向で、好奇心に駆られ行ってみたのだが、あまりにお客がいなくて寒いのなんの。20人以下を前に、しかし黒コートに黒ソフト帽のデイヴィッドは悦に入ってリーディング・・・しているのだが、よく見るとパフォーマンスの合間にヒップ・フラスクから呷っているのはウィスキー?おかげでだんだん語りもむちゃくちゃになってきて(まあ、シュールな内容の本だからそれでいいんだけど)、ついていけなくなったので退出。にしてもルックスといい、威圧感と狂気と弱さが入り混じる不思議な空気といい、おっちゃんになってからのオーソン・ウェルズみたいだった。

日も落ちてきていよいよ終盤、まずはFar Out Stageに向かう。この晩のこのステージは、ヘッドラインのHawkwindを総帥にした、さしずめUKアングラ・サイケのテーマ・パーク状態。その仕切り人がトリ前のAmorphous Androgynousなるユニットなのだが、正体はエレクトロの老舗Future Sound of Londonだったりする。ダンスとサイケデリアは切っても切れない仲なので納得だし、このAmorphous~のラジオ番組(Monsterous Psychedelic Bubble)のコンピレーション・アルバムはノエル・ギャラガーも絶賛していた。彼らのロンドン・ギグにギターで参加する・・・との話もあったが、オアシス騒動で立ち消えになったみたいですね? そのトップ・バッターであるAlisha Sufitは、インド音楽をミックスしたサイケデリック・フォークのカルト古典バンド=Magic Carpetのソングライター/シンガーだった人。72年に出たアルバムは、そのインパクト大なジャケットも含め、いまだサイケ好きに根強い人気の作品で、アングラ・サイケの第一次CD再発が盛んだった時期、何も知らなかった若き日の自分もあのジャケだけで即買ったもんです。ソロとして活動中とは知らなくてびっくりしたが(オアシス「Falling Down」のAmorphous~リミックスでも歌っていたんだとか)、バエズ系の美しい歌声とシタールの絡みで聞かせ、年配客の拍手を浴びていた。彼女の新しいソロ・アルバムはAmorphous~がプロデュースだそうで、第2のヴァシュティ・バニヤンになれるか?乞うご期待~。昨日Jonnyで出演したエイロスがこのテントの周辺でずっとウロウロしている姿を見かけたが、サンダル履きで持ち込み酒を飲む様子、完全に「地元祭りに参加」のノリなのが笑える。
一瞬メイン・ステージに戻り、新作が好評なCamera Obscura。健気なギター・ポップと言う持ち味は健在で、お客からも愛されていて良かった良かった。再びFar Outに取って返し、これまた英サイケのカルト・フィギュア=Nick Nicelyを鑑賞。フェスのパンフレットによれば、70年代から活動、82年に発表された代表作「Hilly Fields(1892)」はサイケデリアとシンセの融合作で、かのデュークス・オブ・ストラスフィアにも影響を与えた、と言われれば観たくもなります。そしてやはり只者ではなく、ニックさん本人は顔を白スカーフで隠した面妖な風体で(結構な年齢だと思うのだが・・・イギリスのアート老人は、年を重ねるとエキセントリックさを増すのか?)、キーボードに囲まれ激しく動きまわりながら、ユーロな哀感を漂わせたカンタベリーの香りもちょっと漂うスペース・サイケを展開。彼のアルバム、聴いたことがないのでこれを機にチャレンジしてみようと思います。にしても、30年前、20年前のサイケ・アクトをこうして引っ張り出し、ミニ・フェスとして形にしてしまうんだからすごい話。イギリス人の音楽マニア/レコード・コレクターというのは、ほんとあっぱれですね。それに、たとえ内容がどんなものであれ(オリジナル・メンバーもほとんど残ってないだろうし、60年代全盛期の映像、あるいは「ボディ・ペイント女性が踊り狂う」「壮絶なライト・ショウ」と言った伝説に較べるとがっかりするのかもしれないが)、トリのホークウィンドは観れるものならやはり1度は観てみたいよね、話の種に。

がしかし、その思い(=怖いもの見たさの好奇心?)は抑えることにしてメイン・ステージに戻り、降り始めた雨のもと、これまた負けじ!とアングラ・ヒーローなRodriguezに控える。この人はデトロイト出身のメキシコ系移民SSWで、70年にリリースしたアルバム「Cold Fact」再発をきっかけに、ここ2、3年若い音楽マニアの間でもその作品が「幻の傑作」として話題になっていた。ディラン的な社会派歌詞、中期ディオンを思わせるしみじみメロディ、ラテン・ロックが融合した音楽性は、当時のアメリカでは無視されたもののなぜか南アフリカに渡って大受けし、プロテスト・ソングの歌い手として愛され、かの地でカルト・ヒーロー化。しかし当のロドリゲスはそんな事情もつゆ知らず、90年代末に発見されるまでデトロイトの建設現場で働いていたんだそう。なんとも数奇な話じゃのう・・・と思っていたが、たまたまキャンプ・サイトで知り合った中年男性が南アフリカ人で、「ロドリゲスの人気はすごいよ!南アでは、何万人もお客を前に演奏したことも」と嬉しそうに話していたんだから、本当なのだろう。ちなみにこの人、更に話を聞いたらロドリゲスのマネージャーの兄弟だった(笑)。道理で詳しいはずです。また、彼いわく60~70年代の南アはマーケティング・リサーチが行われる場所でもあり、ここでテスト的にリリース~受ければ英米でも発売、なんて慣習があったそうで、南ア以外では発売されなかった作品(音楽や映画)もあるんだよ、とのこと。レコード・コレクターの皆様、チェックしてみてはいかがでしょう。
というわけで、復活してツアーを行い、長い間たまってきたツケを受け取っている形のロドリゲスにエールを送るべく待っていると、アルバム・ジャケットでもおなじみのサングラスに長髪、帽子の渋いいでたちな彼が現われ、あちこちで喝采が局地爆発する。恐らく南ア観客なのだろう。さすがに声の衰えは感じたが、詩心とギターの優しい響きは変わっていないし、パッションを烈しく投げるというより、フォーキィ・ソウルの穏やかさで滔々と歌いかけていく感じ。計7人編成のバンドはホーンも含めているため、どこかアーサー・リーのソロ・ライヴの面影がだぶるのも面白い。ロドリゲス以外は若いミュージシャンということもあって演奏そのものはタイトだったし、名曲「Sugar Man」など実にかっこよかった。ラテンなメロディのメロウなヴァイヴ、このフェスのピースフルな雰囲気にぴったりだった。

オーラス前の腹ごなし!というわけで、有名なシェフが経営するレストランの出してる屋台で「豚腹肉のサンドイッチ」を注文。このメニュー、屋台のレベルがおおむね高いこのフェスですらあちこちで「あれは旨い」と囁かれていたカルト・メニュー(笑)で、昨日のジョー・ボイドも「あのPork Belly Sandwichは最高」と絶賛していたのでトライしてみた。全粒粉のパンで、カリカリに皮をローストした脂身3センチくらいの肉片をドカン!と挟んだ(ソースはアップル・ソースとホース・ラディッシュから選べる)サンドイッチは確かに激美味だった・・・のだが、このサンドイッチだけではなく、これまた旨そうだった(そして本当に美味しかった!)具沢山なチキン・スープをその前に食べてしまったのがアダになり、半分くらい食べた時点で脂身を飲み込むのがきつくなってきた。最終日だから今しか食べられない!と欲張った自分がアホとはいえ、その後しばらく胃痛と胃酸過多に悩まされた。普段のコモン・センスが頭から掻き消えるのがフェスの怖さですな。この屋台ではお子様連れのパパ・ジャーヴィスにも遭遇。やっぱり素敵&ブラウン・ヘアの息子はむっちゃくちゃかわいく、「パパー、クレープ食べたい~」とおねだりしていた。
続いてはお待ちかね、Dirty Threeの登場。昨年もこの時期にEnd of The Roadで観たんだよな・・・と思いつつステージに寄ると、ウォレンもミックもジムも、心なしか去年と服装が変わってないよ?!とはいえ、「Some Summers They Drop Like Flies」で演奏がキック・オフするやいなや、D3の痺れるようなサウンド・スケープ~エピックなせリ上がりに一気に引き込まれる。オーディエンスに背を向け、エビ反りながらヴァイオリンを弾きキックを決める、おなじみのウォレンのメフィスト的パフォーマンスの妙に観客も釘付けだ。しかしこの人、毎回曲間のMCがむちゃくちゃで面白すぎ。この日は「しばらくアルバム作ってないけど、実は煮詰まってます・・・アイデアがある人、僕達にメール送ってください!(小声で)印税の55%あげます」とか、かと思えば突如ポリス(>スティングの)をバカにしたり、前言を撤回し「実は新作は2週間後に出るから!」(>出ないって)など、冗談とも本気ともつかない発言と、鬼気迫る風体のギャップに苦笑の波が広がる。ていうか、「ここスコットランドだよな?」(>ウェールズです)との失言には、一瞬場の空気が凍ってた。とはいえ、こういういい加減でバンカラなユーモア(なんか鈴木清順っぽいのだな)は、ジャーヴィス・コッカーも学ぶべきだろう・・・まあ、単に酔っ払ってるだけなのかもしれないが、どんどん興にのっていく彼の演奏とミック&ジム(このふたりは無口&素面っぽい)の応酬は、「Sea Above,Sky Below」、そして圧巻だった「Everything’s Fucked」の世紀末的情景へとビルド・アップしていった。ラスト曲にいたってはもう、インストのヘヴィ・メタルである。いつ観ても素晴らしいバンドので、まだ観たことのない方はチャンスがあったらぜひ。でも、新作もよろしくね~!(もう前作から3年だよ)

Dirty Three@ATP2007

そしてそして~お待っとさん!なWilcoの出番です。最新作「Wilco(The Album)」リリース後初のUK公演でもあり(このフェスのあとロンドンで単独公演もやったが)、本当に楽しみにしていたのです。写真を撮るためにがんばって最前列を確保したところ、なんと周りはティーンエイジャーばかりでガクゼン!もちろん年配客は後ろでゆっくり鑑賞しているからだろうが、ウィルコにきゃあきゃあ言ってる10代の姿、というのは実に素晴らしい光景だと思った。日本もどうにかならないのか。ともあれ、例のヌーディ・スーツ姿かな?という期待はあっさり外れ、普段着の6人が登場~挨拶なしでさくっと新作の「Bull Black Nova」からスタート。クラウト調のシンプルなキーボード・リフが牽引していくこの曲は、しかしジェフ/ネルス/パットの3人によるギターの複雑にして精緻な絡みがもう、いきなりすごすぎた。ミドルでジェフがメタル・ギタリスト並みのノイズを爆発させ、オーディエンスの体温も一気に上昇。各メンバーのテクニックの高さはもちろんだが、バンドとしてひとつになった時のバランス&無駄のなさ&的確さという意味において、やはりウィルコはアメリカのレディオヘッドなのかもしれない。続く「You Are My Face」では一転まろやかな70年代ポップ味が取って代わり、ジェフ&ジョンの美しいハーモニー・デュオを軸に、パットの繊細なエレピの音色が曲に美しいGLOWを与えていく。はーっ、ため息。その美しさはジェフがアコギに持ち替えての「Muzzle of Bees」にそのままスライドし、咲き誇るライラックのようにデリケートな、しかしクリアなアレンジが耳の中に広がっていく。とはいえ、よく聴くとネルスとジョンのインタラクションは張り詰めているし、ジェフ&ネルスのツイン演奏も一糸乱れぬ正確さでテンションが高い。優雅に水の上を滑っているように見えて、水面下では懸命に水かきを漕いでいる白鳥のようだ。
とまあ、この3曲でもぶるぶる震えが走るほどだったのだが、たぶんバンドにとってはこの序盤は一種の肩慣らしだったのだろう・・・と思えるほど、ここから先がすごかった。それは、もしかしたらオープニング3曲の間はステージ前にフォトグラファーが待ち構えてフラッシュをバシャバシャ焚いていて(筆者はまずライヴの時はフラッシュは使わない。チャチなデジカメなんで、焚いてもあんま意味ないし)、バンドもオーディエンスも集中しにくいから?などと思いつつ、あうっ!このワイドなイントロは「I Am Trying To Break Your Heart」!やっぱりこの曲が鳴リ出すと、「ウィルコのショウだ~」という気がするのは筆者だけ?いやそんなことはなくて、隣に立っていた少年が「ウォォーーー!」と絶叫で迎えたのを考えても、やはり「Yankee~」の1曲目であるあの曲は、いろんな人にとって〝現ウィルコの始まり〟を象徴する曲なのだろう。それはともかく、オリジナル・ヴァージョンも鳥肌ものとはいえ、今のラインナップで演奏されるこの曲の持つ怪物的な膨らみとフリーク・アウトしたノイズ(特にグレン、毎回ものすさまじいプレイを聴かせてくれる。この1曲終わった段階で全身汗だくになってた)の渦には、マジ魂持ってかれる。しかし、そんなマッドな音の坩堝を作り出しつつ、よく見るとメンバー全員ニコニコ笑っているではないか。最新作「Wilco(The Album)」のテーマに、実は「笑い」というのは大きいのだと思う。ラクダちゃんの誕生パーティー、というアルバム・ジャケットのコンセプトにしても、メンバーにしてみれば深い意味や隠されたメッセージがある・・・というより、ただ「笑えるよね?」ということではないか、と。それはたぶん、シリアスでプログレッシヴなバンド、6人全員マニアックな音楽フリーク集団、現在アメリカ最高のバンド・・・という何やら仰々しいパブリック・イメージ(とはいえ、そのどれも間違ってはいないのだが)の数々を笑い飛ばし、実はウィルコ自身はそこまで自分達をクソ真面目に捉えてはいないんだよ、とファンに伝えようとしているのだと思う。たとえば、これと同じようなことを生真面目さん集団レディオヘッドがやれる、とは自分には思えない(ラマに乗るトム・ヨークとか、絵としては似合いそうで見てみたいけどね)。そういうある種のガス抜きのセンス~自分達を茶化す健全な距離感は、ウィルコの方が数段上手なようです。

バンドもその新たなユーモア感覚をエンジョイしている模様で、とにかくこの日のライヴでは常に笑顔に満ちていた。笑うウィルコ。最初は正直やや不気味だったが(前回観た時は、ジェフが終始怖いとっつぁん状態でおっかなかったんだもん)、歌の良さでじっくり聴かせた「One Wing」、またもグレンのキットが炎上する激烈なブレイクに喝采が湧いた「Via Chicago」(名曲!)の盛り上がりにメンバー全員が笑顔を交し合うあたりになって、こちらも慣れてきた。というか、素晴らしい演奏を聴かせる仲間がいる、そんなバンドにいたら、誰だって笑みが浮かぶものだろう。その軽さを牽引していたのが、ジェフ&ジョンを挟む形で両翼を守るパットとネルスだった。パットはキーボードとギターをスイッチしつつの奮闘で、トリプル・ギターの威力をこれでもか!と見せ付ける美味しい役。しかしやはり現ウィルコの強力な懐刀と言えばネルスで、メタル、ジャズ、SYばりのノイズ、ラップ・スティールとなんでも饒舌に弾きこなす彼の存在は、すごすぎて驚きを通り越して笑えてしまうのだ。「Impossible Germany」で始まったギター合戦は実にお茶目で、リヴァーブ・ギターで揺らすパットにネルスが水銀のように滑らかなフェンダー・ソロで応酬する様は、見えない火花を散らしながら、しかし両者がお互いをリスペクトし、このジャムを、ウィルコというバンドを祝福しているようで最高だった。そのふたりにつられる形で、ジェフもシャープ極まりないカッティングのユニゾンに加わっていく。別にテクニック至上主義者ではないし、ウィルコの場合あくまで歌があってのインスト・パートとはいえ、筆者はこの音の重なり(そして分離の明度)を聴いているだけでご飯3杯はいけます。

Impossible Germany--Wilco

最新作の1曲目「Wilco(the song)」のこれまた息の合った演奏&ラヴリー極まりないポップ・メロディで中盤を切って落とし、余裕すら感じた定番曲「Jesus Etc」、どんな曲でもロックンロールの風が吹いているジェフの歌声が素晴らしかった「Handshake Drugs」では、アウトロのプレグレ・バンドばりのギター・プレイの間にSGを頭上に持ち上げての大熱演まで飛び出し、びっくり。そのやや掠れた味がたまらないヴォーカルは、続くサザン・ソウル~スタックス風にリラックスした「Hate It Here」でヴァン・モリソンを思わせるシャウトを聴かせてくれた。グレンの仁王立ちポーズから元気にキック・オフした「I’m The One Who Loves You」はジャム的なイントロを伴うノリの良さが身上で、スコンと抜けた明るさが昔のライヴのヴァージョンとは違うな、と感じる。観客も彼らのジョイフルなグルーヴにすっかり魅了されていたが、ステージもフィールドもすっかり暖まったところで始まったのが「Spiders」!かっこよすぎな展開です。筆者ももうノリノリの踊り子状態で、あのタフなブレイクでがんがんヘッドバングしたせいで、翌日首が痛くてしょうがなかったっす。でも、あの曲はほんと今のウィルコ・ライヴの大輪の花だ。「Hoodoo Boodoo」のポール・マッカートニー的なはずむ曲調のロング・ジャムがそれに続き、この本編ラスト曲で再びネルス(左)とパット(右)がギター合戦に突入。ソロを披露し合い、そのたびそれぞれの側の観客がやんやと囃し立てるのだが(さすがのジェフも、両者の悪乗りぶりに苦笑していたほど)、アンガス・ヤングばりの猛演奏を聴かせたパットはいちいち腕を突き上げてポーズを決め、そのもったいぶったハデさにみんな大笑い。しかしまったく動じず、淡々と変態プレイを繰り出してオーディエンスを唖然とさせるネルスもかっこいい。佐々木小次郎と宮本武蔵のようなものだろうか。全員の熱演と秀逸な演奏、そして屈託のない笑顔という素晴らしいプレゼントを渡され、興奮しまくりな観客がアンコールの声をたちまち広げていく。「Late Greats」他、そちらはランブル&エネルギッシュな「AM」期を彷彿させるロックンロールでコンパクトにまとめてくれたが、75分(+アンコール)のステージ・タイムは短すぎた・・・「Heavy Metal Drummer」、「I'm Always in Love」「Kamera」なども聴きたかった・・・と贅沢を言うのはここらへんにしておくが、このバンドのディスコグラフィを考えれば2時間以上は必要だろう。
ウィルコというバンドは演奏力・柔軟性・クリエイティヴィティ・6人のケミストリー、どれをとっても現在ロックンロール・ゲームのトップに位置するバンドのひとつだし、ほんと、もう何がなんでも日本に行ってほしい。これを体験できないのは、日本の音楽ファンにとって損失以外の何物でもない。それに、これ以上来日ギャップが広がると、2時間どころか3時間プレイしないと日本のファンを満足させられなくなっちゃうよ~~


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